あなたは生活費を夫婦で折半している状況にモヤモヤしていませんか?
夫婦での生活費の折半は、一見すると平等に見えますが、収入状況、家事、育児、その他の家庭環境を含めて全体的にみると、とんでもなく不公平な状態に陥っていることも少なくありません。
そこでこの記事では、夫婦で生活費を折半するのはおかしいと不満を抱いている方向けに
- 夫婦で生活費を折半するのは「おかしい派」「おかしくない派」の意見
- 生活費の折半が向いてる/向いてない夫婦の特徴
- 自分とパートナーの負担額の計算方法
- パートナーを説得・納得させる方法
- 夫婦で生活費について話すときの注意点
について詳しく解説していきます。
今の不公平な状態が続いてしまえば、あなたの大切なお金が失われるだけでなく、あなたの大切な人生が不満と後悔に包まれてしまいます。
この記事を読んでいただくことで、生活費を折半している夫婦の状況を改善・好転させるヒントを得ることができますので、ぜひお役立てください。
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夫婦で生活費を折半するのはおかしい?肯定派・否定派の意見
世の中には生活費を折半するのが「おかしい」と言う夫婦もいれば、生活費を折半することに納得している夫婦もいます。
それぞれの夫婦はどのような意見をもって生活費を折半・あるいは分担しているのか、まずはじめに双方の意見を整理しておきましょう。
夫婦で生活費折半するのは「おかしい派」の意見
夫婦で生活費を折半するのはおかしいと感じる人の意見としては、以下のようなものが挙げられます。
- 夫婦で収入差があるのに同じ金額を負担するのは平等じゃない
- 家事や育児の負担が大きく偏ってるのに考慮されていないのはおかしい
- 相手が残りのお金を何にどれくらい使っているのか不信感がある
- 突然の出費時に夫婦のどちらが立て替えるか揉めるのがイヤ
夫婦で生活費を折半して生まれる不満は、家計の不透明感や家庭運営の負担の不公平感から生まれているといえます。
夫婦で生活費折半するのは「問題ない派」の意見
一方、生活費を折半するのは問題ないと考えている夫婦の意見としては以下のようなものが挙げられます。
- 夫婦で収入が同じ程度なので生活費の折半は平等だと思う
- 家計簿をつけてお互いの貯蓄も把握しているので問題はない
- 折半している生活費・貯蓄以外のお金は自由に使えるのでよい
- 夫婦で話し合って納得した金額・カタチなのでそもそも不満はない
特に、「収入が夫婦で同じくらいなので折半するのが公平」というのはシンプルで納得感があります。
生活費を折半することが問題ないのは、
- 家計の状況を透明化している
- 事前によく話し合って納得している
というように、夫婦同士で「家計」と「心の内」を見える化して十分なすりあわせができている点が大きな要因になっているようです。
また、必要分を差し引いた残りのお金は自分が自由に使えるため、おこづかい制など窮屈な仕組みにならない点もメリットとなっています。
法律では、夫婦の生活費は「分担(=折半しない)」ことが前提
ちなみに、日本の民法においては、結婚生活の費用は折半ではなく夫婦で柔軟に補いあうことが前提となっています。
以下、民法からの引用です。
(婚姻費用の分担)
引用:民法 第二款 法定財産制
第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
上記の民法の内容を簡単に言い換えると、
「夫婦の生活費は、収入、貯蓄、家事、育児、仕事、介護、健康状態など、もろもろの状況を総合的に加味して夫婦でバランスよく負担しあってね」
となります。
つまり、日本の民法からいえば、納得感がないのに夫婦の生活費を折半にさせられている状況は改善の余地が大きいということになるのです。
生活費を夫婦でバランスよく分担する方法は記事後半で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
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生活費を「折半する」のが向いている夫婦の特徴
ここからは生活費を夫婦で折半するのが向いている夫婦について、メリットやデメリット交えて紹介していきます。
夫婦で生活費を折半するメリット
夫婦で生活費を折半する大きなメリットとして、パートナーへの収入の依存度が減る点が挙げられます。
たとえば、パートナーが生活費の90%をまかなっている家庭の場合、パートナーが倒れて無収入になってしまうと生活が大きく揺らいでしまいます。
一方で、生活費を夫婦で折半している場合は生活費が大きく減るとしても家計へのダメージは半分で済みます。
また、自分も経済的に自立している必要があるので、「自分で稼ぐぞ」というお金に対する自立心が育まれるのもメリットです。
夫婦で生活費を折半するデメリット
夫婦で生活費を折半する最大のデメリットは、妻と夫で収入差がある場合に不公平感が生まれやすいことです。
たとえば、夫は月50万円、妻は月30万円の収入があり生活費としてお互い20万円ずつ出し合う場合、
- 夫:50万円-20万円=30万円残り
- 妻:30万円-20万円=10万円残り
のような形になり、妻には10万円しか残りません。
家計全体で見ると生活費の折半は平等ですが、夫婦単位で見るとかなり不平等な状態になってしまいます。
そのほか、家事や育児の負担のバランスが偏っているとさらに不平等感が増えて「割に合わない」と夫婦の不満につながりやすいこともデメリットとなります。
生活費を折半するのが向いている夫婦の特徴チェック
上記のメリット・デメリットから、生活費を折半するのが向いている夫婦の特徴は以下になります。
- 収入が夫婦で同程度
- 固定支出(家賃、ローン、保険料など)の負担が夫婦で同程度
- 家事・育児の負担は夫婦でバランスがとれている
- 夫婦のお互いが経済的な自立心を持っている
- 夫婦で家計のリスク分散をしたい(パートナーに経済的に依存しない)
- 自分の貯蓄・資産は自分のものとしてなるべく自由に使いたい
あなたの夫婦はあてはまっていますか?
3つ以上当てはまるようなら、夫婦で生活費を折半するのが向いている可能性がありますので、一度自分たち夫婦の現状や価値観を振り返ってみてください。
生活費を「分担する(折半しない)」のが向いてる夫婦の特徴
続いて、生活費を夫婦で折半するのではなく、バランスよく分担する場合についてメリット・デメリットを見ていきましょう。
夫婦で生活費を分担する(=折半しない)メリット
夫婦で生活費を分担する大きなメリットは、妻と旦那の収入や家事育児、介護など家庭の状況にあわせて柔軟に家計を調整できることが挙げられます。
妻と旦那の収入の割合や家庭の負担にあわせて生活費の割合を変えるやり方は、納得感を持って生活できる点がメリットです。
夫婦で生活費を分担する(折半しない)デメリット
夫婦で生活費を分担する(折半しない)デメリットは「どちらがどれだけの生活費を支払うのか、貯蓄をするのか」を夫婦で納得できるようにすり合わせるのが大変な点です。
特に育児や家事の負担が偏っている場合、育児と家事の負担分をお金に換算するのが難しく、旦那と妻の間でもめる可能性も出てしまいます。
また、収入が少ない方はパートナーの収入に依存しやすくなるため、万が一パートナーが倒れた場合のリスクが大きくなる点にも注意が必要です。
保険の見直しが必要になれば、保険の負担も差し引いて家計のバランスを見直して…のように、堂々巡りに陥ることも。
やはり夫婦で丁寧に話し合うことが重要となります。
生活費を分担する(折半しない)のが向いている夫婦
以上のメリット・デメリットをふまえると、生活費を分担するのが向いている夫婦の特徴は以下になります。
- 夫婦の収入差が大きい
- 固定支出(家賃、ローン、保険料など)の負担が夫婦の一方に偏っている
- 育児や家事などの負担が夫婦の一方に偏っている
- 夫婦で支えあいたい気持ちが強い(お金を差し出してもいい)
上記に2つ以上当てはまるなら、夫婦の生活費を折半せずバランスよく分担するのが向いているといえます。
生活費の折半がおかしいと感じている方は、自分たち夫婦の状況を振り返ってみてください。
さて、夫婦の生活費を「折半」から「分担」の形に変えようとする際、話し合いがうまく進まないこともよくあります。
そこで次の章からは夫婦の生活費をバランスよく分担する際に大きな問題になる以下の2つ
- 妻・夫それぞれいくらの金額で分担するか
- どうやってパートナーを説得するか
について、やるべき準備と対策をわかりやすく紹介していきます。
【やるべきこと1】生活費を折半しない場合の「夫婦の負担額」を計算する
夫婦で生活費を分担したいとき「夫婦それぞれがいくら支払えばいいのか」が大きな問題になってくるでしょう。
生活費の負担割合・金額を決めるアイデアとしては以下があります。
- 収入の割合で決める
- 生活費の費目で分ける
- 家事・育児の負担を金額換算する
- 収入が多い方が全て支出、残りはすべて貯蓄
- 婚姻費用シミュレーターを参考にする
それぞれについて、具体例を挙げながら詳しく解説していきましょう。
※前提として、ローンや保険など家族のためにすでに支払い続けている固定支出がある場合はあらかじめ差し引いたうえで計算しましょう。
収入の割合で決める
夫婦お互いの収入割合から生活費の負担額を計算する方法はとてもシンプルです。
たとえば、
- 夫の収入が600万円
- 妻の収入が300万円
- 生活費が30万円
だったとき、以下のように負担割合を計算できます。
生活費の負担割合
= 夫の年収:妻の年収
= 600万円:300万円
= 2:1
生活費30万円のときの負担額
=夫2:妻1
=夫20万円:妻10万円
計算もシンプルなため、考えやすい方法です。
- 生活費がオーバーしたらまた同じ割合で追加負担をする
- 生活費が余ったら残りは貯蓄にまわす
のように過不足の対応もしやすい点もメリットです。
生活費の費目で分ける
夫婦の折半をやめて生活費を分担する2つめの方法は、生活費の費目(役割)で負担額を決める方法です。
生活費の費目で考える際は以下のような分け方があります。
【案1】固定費と変動費で分ける▼
- 【夫:固定費】
家賃、水道光熱費、通信費 など - 【妻:変動費】
食費、日用品費、衣服費、娯楽費 など
【案2】大まかな金額ベースで費目を分ける▼
- 【夫:負担大の費目】
家賃、食費、水道光熱費、通信費 など - 【妻:負担小の費目】
日用品費、衣服費、娯楽費 など
この費目はこちらが支払う、のようにあらかじめ決めておくことで生活費の支払いがシンプルになるメリットがあります。
なお、注意点としては以下2つあります。
突発的な支出や変動費によってバランスが崩れる場合がある
突発的な支出、たとえば冠婚葬祭、大型家電を買った、電気代が急上昇した、ケガで医療費が増えたなどの場合、夫婦の負担金額のバランスが崩れてしまいます。
費目の判断があいまいだと夫婦で揉める
たとえば旅行に行った際、宿泊費は夫?食費は妻?娯楽費としてまとめて妻?など、突き詰めていくと細かいところまで決めておかないと夫婦で揉めることになります。
事前にルールを決めておき、例外のケースが出てきたらその都度話しあい、後々振り返られるように「この場合はこう」と夫婦共通の文書に必ず残しておきましょう。
家事・育児の負担を金額換算する
家事・育児の負担が夫婦で大きく偏っているなら、負担を金額に換算して支払う生活費を調整することもできます。
たとえば夫婦共働きの中、育児や家事にあてている時間が
「自分は月に80時間」
「パートナーは月に20時間」
であれば、差額の60時間分は自分が頑張っている分になるので生活費を調整するのは妥当でしょう。
上記の場合、たとえば東京都に住んでいる場合だと、最低時給はおよそ1,100円なので、66,000円分の働きとしてパートナーと話し合い生活費の負担額を調整できます。
なお、夫婦の家事・育児の負担状況を正しく把握する必要があるので、2〜3ヶ月程度の期間で記録を取っておきましょう。
収入が多い方がすべて支出し、残りはすべて貯蓄
少し極端ですが、夫婦の生活費は妻か夫のどちらかがすべて受け持つという分担方法もあります。
たとえば、夫の年収がかなり多い場合、
- 夫は生活費をすべて支払う(収入の残りは貯蓄)
- 妻は収入のすべてを貯蓄にまわす
のように、夫婦内で超シンプルに役割を分けることもできます。
夫婦の役割がはっきりしていてお金の出入り口も少なくなるので家計管理もしやすい点もメリットです。
注意点としては、支出する人個人の資産が増えにくくなること、貯蓄の役割が夫婦の一方に集中するので知らぬ間に浪費されないようチェックが必要となります。
- パートナーの収入がかなり高い
- 倹約しており生活費がかなり少なくて済む
といった場合に夫婦で話し合って検討してみるとよいでしょう。
「婚姻費用算定シミュレーター」を活用する
もし分担する生活費の計算がなかなかできないときは「養育費・婚姻費用算定表」を活用するのも一つの手です。
養育費・婚姻費用算定表とは、夫婦が別居することになった際に相手へ請求する生活費の参考金額をまとめた表のこと。裁判所が提供しているものです。
「夫婦の収入状況(額面)と子供の年齢に応じていくらの生活費を受け取るのが妥当か」がまとめられています。
夫婦の年収差があるときにいくら多く支払ってもらうのかをある程度見積もることができる便利なツールです。
※標準的なケースにしか対応していないのであくまで参考として活用しましょう。
ちなみに、養育費・婚姻費用算定表は見るのに慣れが必要なので、自動計算してくれる以下のサイトの婚姻費用計算シミュレーター(無料)を参考にするのがおすすめです。
画像:婚姻費用の自動計算ツール|弁護士法人デイライト法律事務所
このシミュレーターは、夫と妻の年齢、育てている子供の人数を記入するだけで婚姻費用が表示される便利なツールで、インターネット上に無料公開されています。
使い方は簡単で、以下の画像のように4項目に数字を記入するだけで受け取ることのできる婚姻費用(夫婦の生活費)の概算が表示されます。
画像:婚姻費用の自動計算ツール|弁護士法人デイライト法律事務所
入力項目
- 権利者の年収:
パートナーから生活費を受け取る人の年収(例:妻の年収) - 義務者の年収:
パートナーへ生活費をわたす人の年収(例:夫の年収) - 権利者(婚姻費用をもらう側)が監護している人数:
生活費をもらいたい人が面倒を見てる子供の数 - 義務者(婚姻費用を渡す側)が監護している人数:
生活費をわたす人が面倒を見てる子供の数
注意点として、このシミュレーターは「収入」と「子供の数」をベースとした標準的な状況にしか適用できません。
家事・育児の負担、介護、健康状態、保険料やローンなど各家庭の細かい事情は加味されないため、あくまで参考金額として捉えておきましょう。
関連リンク▼
婚姻費用の自動計算ツール|弁護士法人デイライト法律事務所
(参考)夫婦の生活費の分担バランス
夫婦で生活費を折半から分担に変える話をする前に、いくらずつ支払うのかも考えておくのがおすすめです。
たとえば、夫の収入が妻よりも多い場合を考えてみましょう。
- 毎月折半している生活:
夫20万円、妻20万円 - 妻が受け取れる生活費(婚姻費用):
7万円
この場合、以下のように夫婦で折半している状況からバランスよく生活費を分担することができます。
パターン1:収入が多い方に生活費を上乗せする
- 夫:27万円(20万円+7万円)
- 妻:20万円
収入が多い夫に生活費をより多く払ってもらい折半から分担に変える方法です。
パターン2:収入が低い方の生活費を差し引く
- 夫:20万円
- 妻:13万円(20万円−7万円)
生活費が成り立つなら、収入が低い方が支払う金額を減らしてバランスをとるやり方もあります。
パターン3:夫婦で一定の金額差になるように調整する
- 夫:25万円(20万+5万円)
- 妻:18万円(20万円-2万円)
※夫と妻の支払う金額差が7万円になるように調整する
「生活費は下げられない、でも夫は27万円の支払いは難しい」という場合は夫婦間で婚姻費用分の金額差になるように調整するのもよいでしょう。
この形であれば、結果的に収入の多い夫が妻よりも7万円多く生活費を払っていることになるので、折半しているときより公平な状態になります。
これら3パターンの金額分担はあくまで参考になりますが、夫婦で納得できるカタチを探す際の参考にしてみてください。
【やるべきこと2】夫婦の生活費折半をやめる話し合いをする(進め方解説)
ここからは夫婦で生活費を折半しているのがおかしい状況をバランスよい理想の形に変えるためのパートナーとの話し合い・交渉のやり方を紹介していきます。
夫婦の生活費折半をやめる話し合いの流れは以下になります。
- 現在の家計・資産状況を正しく把握する
- 生活費が折半になった背景を整理する
- 生活費が折半だと困る理由を整理する
- 生活費をいくらで分担し合えばいいのか計算する
- 夫婦で話し合い、納得できるバランスを探す
- 【重要】話し合った結果を必ず書面に残す
それぞれ解説していきましょう。
1. 夫婦の現在の家計・資産状況を正しく把握する
夫婦のお金の話をするうえで、家計や資産状況は必ず最初に把握しておくことが重要です。
少なくとも以下の収入・支出について「自分」「パートナー」のそれぞれに分けてわかる範囲で数字を出しておきましょう。
- 資産額(銀行預金、株式、投資信託など)
- 毎月の収入(給料、副業収入、配当金など)
- 毎月の固定費(家賃、ローン、保険料、通信料、学費、サブスク費など)
- 毎月の変動費(食費、日用品費、衣服・理美容費など)
もし家計簿をつけておらずお金まわりのことが分からないなら、今から家計簿をつけて家計の透明化を進めましょう。
今ではクレジットカードや銀行口座と連携するだけで自動的に家計簿ができあがる便利なアプリが無料で提供されています。
家計の不透明感も生活費折半の不満を生む要因になりますので、何より先に夫婦のお金事情を把握しましょう。
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2. 夫婦の生活費が折半になった背景を整理する
次に、なぜ夫婦の生活費を折半することになっているのかを振り返ります。
結婚した当初、あなたとパートナーで話し合い生活費を折半することにした背景があるはずですので具体的な理由を整理しておきましょう。
パートナーに「なぜ今さら変えるのか?」と聞かれたときに、「過去に生活費の折半を決めたときから状況がこう変わっていて、折半の状態をやめたい」と話を進めやすくなります。
たとえば、
- 夫婦共通で使う「住居」「水道光熱費」「通信費」など固定費は折半にした
- お互いのおこづかいを自由にできるように生活費はすべて折半にした
- 特に決めておらず、なんとなく流れで生活費を折半することになった
などが出てくるでしょう。
過去の状況と今の状況を対比させることで、生活費の支払いバランスを変える必要が出てきていることをパートナーに印象付ける材料になります。
3. 夫婦の生活費が折半だと困る理由を整理する
続いて、生活費が夫婦折半だとなぜ困るのか、なぜ折半の状態をやめたいのか理由を整理しておきましょう。
パートナーと話し合いをする際、理由が正当であるほど折半をやめる強い説得材料になります。
たとえば、
- 家事と育児の負担が偏ってるので負担額のバランスを調整したい
- パートナーの貯蓄が想定よりも進んでいないので家計を見直したい
- 資格取得のための自己投資が必要になり生活費のバランスを見直したい
など、あなたの気持ちや現状を言語化するとよいでしょう。
人生は変化の連続ですので、過去に決めたことを無理に続けるのはナンセンス。
昔から状況が変わっているなら現在の状況にあわせて夫婦の生活費の支払いバランスも変えるのが自然です。
4. 夫婦の生活費をいくらで分担し合えばいいのか計算する
夫婦でいくらずつ負担しあえば困らないのかも計算しておきましょう。
あなたから夫婦の生活費折半をやめたいと申し出をする以上、夫婦それぞれでいくらの負担バランスだと理想なのかもパートナーに提案しなくてはなりません。
特に、分担する(パートナーに多く払ってもらう)金額の根拠は納得感のあるものでなければ夫婦の話し合いは止まってしまいます。
金額の根拠としては、先に紹介している「生活費を折半しない場合の負担額の決め方」をもとに自分なりに計算しておきましょう。
5. 実際に夫婦で話し合い、納得できるバランスを探す
ここまで準備が整ったら「家計について相談したい」とパートナーに伝え、生活費の折半をやめるために話し合いをしていきます。
- 「生活費の夫婦折半をやめたい」
- 「理由は〇〇だから」
- 「今のところ家計はこんな状況だ」
- 「家庭の状況的に、負担額はこれくらいの差があるのが理想」
- 「私は〇〇円、あなたは〇〇円の分担にするのはどうか?」
といった流れで、生活費の折半をやめるための話し合いをしていきましょう。
このとき大事なのは、一方的に話を進めずパートナーの意見も受け止めることです。
あなたの思いをぶつけるだけでは、今度はパートナー側に不満が溜まってしまいます。
夫婦として円満に生活するためにも、必ず自分とパートナーの両方が納得できる着地点を見つけていきましょう。
お金の話で繊細なテーマであり夫婦が納得できなくてはならないため、話し合いが複数回に渡ることもあります。
しかしあなたが理想の状態を手に入れるためにも大事な話ですので、根気強く話し合いを続けていきましょう。
6.【重要】話し合った結果を必ず何らかの証拠に残す
夫婦で話し合い生活費の折半をやめることになったら、夫婦でいくらずつ生活費を負担することになったのかを必ず証拠として残しておきましょう。
紙に書いて夫婦でサインしたり、ハードルが高いならLINEのメッセージで分担金額について同意をもらうなどでもよいでしょう。
後々「話がちがう」といってトラブルになることを防ぐことができます。
夫婦で生活費について話す際の注意点
最後に、夫婦の生活費について話す際の注意点を紹介しておきます。
家計の見える化をしておく
大前提として、家計簿をつけて家計を見える化しておきましょう。
お金の話をするのですから、今のお金の状態を正確に把握しておく必要があります。
現代ではクレジットカード、銀行口座、キャッシュレス決済などの機能を連携するだけで自動的に家計簿を作ってくれるアプリ・サービスがありますので、家計簿をつけていないなら便利なサービスを活用し必ず家計を把握しておきましょう。
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数字と感情をいったん切り分けて考える
数字と感情を切り分けるとは
- 「何となく自分だけ損をしている気がする」
- 「パートナーはお金に余裕があるように見えてくやしい、気に入らない」
などの気持ちはいったん横に置いておき、事実として今出ている数字(資産額や家計簿の金額)をもとに話し合いをしよう、ということです。
夫婦の生活費折半は妥当な状況でも「何となく損をしている」「私はこんなに辛い」と感情が前に出てしまうと、納得できる話し合いも分担もできなくなってしまいます。
あなたの気持ちもとても大事ですが、まずは現在の資産、収入、支出などの事実をもとに「不公平だから折半をやめたい」と話し合いをするようにしましょう。
パートナーの言い分も聴く
あなたの主張も大事ですが、パートナーにも思うところがあるかもしれません。
夫婦の生活は妻と旦那の協力によって成り立つのですから、こちらの理想を主張するだけではなくパートナーの話もよく聞き、対話を通して夫婦2人が納得できるゴールを見つけることが重要です。
でないと、その後の夫婦関係がギスギスして新しい不満が生まれてしまいますよ。
夫婦お互いのお金の価値観をすりあわせしておく
夫婦のお金の問題の多くは価値観のズレから生まれます。
夫婦のお金の価値観がずれていると
- 自分は「節約・倹約」と思っていても、相手は「ケチくさい」と思ってしまう
- 自分は「投資」と思っていても、相手は「無駄遣い」と思ってしまう
など、思考回路も話も噛み合わず、本当に夫婦で苦労する羽目になります。
夫婦でどんな将来像を描いているのか、そのためには夫婦としてどんなお金の使い方をすればいいのかを定期的に話し合っておきましょう。
そもそもの夫婦関係を円満にしておく
夫婦で不満が生まれたり話し合いがこじれるのは、そもそもの夫婦関係が悪いことが原因ということもよくあります。
夫婦円満の状態であれば、夫婦の双方がパートナーのことを思いやっている状態ができているので生活費の折半をやめたい話もスムーズに進めやすくなります。
円満な夫婦は会話やスキンシップなどのコミュニケーションが多いので、まずは日常的なコミュニケーションを増やしておきましょう。
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話し合いが進まなければ弁護士へ相談。「婚姻費用の分担請求調停」も検討する
それでも話し合いが進まないなら弁護士へ相談の上「婚姻費用の分担請求調停」の検討も一つの手です。
婚姻費用の分担請求調停とは、簡単にいうと、夫婦や子供の生活費に関して家庭裁判所に仲介役として入ってもらい夫婦間の話し合いを進めることです。
夫婦の資産、収入、支出など家計を含む夫婦のお金まわりの事情をよく把握してもらった上で、解決へのアドバイスをもらいながら夫婦で話し合うことができます。
また、もし調停で話がまとまらず不成立となった場合は、諸々の状況を考慮したうえで陪審員が最終的な判断を出してくれます。
法的な話も絡んできますので、まずは弁護士に相談すると安心でしょう。ただし、弁護士に相談する場合は依頼費用が発生する点には留意しておきましょう。
夫婦の生活費折半についてまとめ
夫婦の生活費折半を止める方法について解説してきましたが、いかがでしたか?
最後に、この記事の内容を整理しておきましょう。
- 法律では、夫婦の生活費は状況に応じて「分担」することが前提
- 生活費の折半は向いている・向いてないがあるので、自分たち夫婦はどちらのパターンか調べておく
- 夫婦の生活費の分担額は自分たちの状況に合わせて算出する
- 事前準備、特に家計状況を把握した上で夫婦で話し合いを進めていこう
夫婦とはいえお金の問題は納得ができていないと、喉に刺さった小骨のように常にモヤモヤとした不満を抱えることになってしまいます。
あなたとあなた夫婦が納得感のある生活・人生を送るためにも、今回紹介した内容をヒントに夫婦のお金について向き合ってみてください。
この記事があなた・夫婦・家族にとって一つでも役に立てば幸いです。