結婚して夫と一緒に住んでいると、家事をしないで(ときには育児もせず)夫がだらけている姿にイライラする方も多いでしょう。
夫婦共働きであれば、お互いに仕事で疲れているのに、なぜか妻の方が家事の割合が多くなっていることも。
家事が真にキツイのは、大量の大変な作業をこなしても当たり前として捉えられ、その負荷に対する報酬・見返りがほとんど無い(あるいは見合わない)ためです。
夫が十分以上のお金を支給してくれるならまだしも、「家事をするのは女性の仕事」「専業主婦なら家事をするのは当たり前」と家事をしない夫には不満もたくさんたまります。
そこでこの記事では、家事をしない夫が自発的に家事をするようになる具体的な家事分担の進め方について解説していきます。
夫婦・家族生活を円満にするためのヒントとしてぜひお役立てください。
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夫・旦那(男性)の家事の現状・データ
まず、男性と女性の家事の実態について見ていきましょう。
今も昔も女性の家事負担は圧倒的に大きい
こちらは総務省が行った「平成28年社会生活基本調査」における男女別家事時間に関する調査結果です。
- 男性の家事時間:0時間19分
- 女性の家事時間:2時間24分
となっており、女性の家事時間はやや減少傾向ではあるものの、ここ20年で大きく変わっておらず、家庭での女性の家事負担が依然として大きいという現状です。
結婚すると女性の家事時間は5倍に
さらに、同調査によると、結婚すると女性の家事時間は約5倍に増えるという驚きの結果も得られました。(※家事関連時間:「家事」「介護・看護」「育児」及び「買い物」の合計時間)
つまり、結婚することで家事、介護・看護、育児などの負担が女性に一気にのしかかっているという現状を表しているのです。
こんな状況では当然家事をしない旦那に対するイライラが溜まるのも無理はありません。
家事分担すると夫婦が仲良くなる
一方で、家庭の家事を分担すると夫婦がお互いをより好きになるというデータもあります。
画像:【熱と暮らし通信】世界5カ国の「共働き」に関する意識調査|Rinnai
リンナイが行った「【熱と暮らし通信】世界5カ国の「共働き」に関する意識調査」によると、家事を分担している夫婦は配偶者(パートナー)を好きな割合が高いという結果になりました。
つまり、夫への不満がたまっていても、夫婦で上手に家事を分担することで夫婦関係をより良くすることができるのです。
夫・旦那が家事をするようになる家事分担の5ステップ具体的な方法
ではどのようにして夫婦で家事を分担すればよいのでしょうか。
ここからは早速、夫と家事をうまく分担する具体的な方法を紹介していきます。
具体的に以下のステップを順に追って実施していくことで、夫と家事の分担をスムーズに進めることができます。
- 【STEP1】夫婦それぞれ何の家事にどのくらいの負担(時間と頻度)がかかっているか家事リストをつくる
- 【STEP2】夫婦のどちらが何の家事をメインとして責任持ってやるか分担する
- 【STEP3】分担した家事の「質」と「頻度」をすり合わせる
- 【STEP4】実際に家事をやってもらう
- 【STEP5】分担後の家事の振り返りをする
これらのステップをどのように実践すればいいか、以下で詳しく解説していきましょう。
【STEP1】夫婦それぞれ何の家事にどのくらいの負担(時間と頻度)がかかっているかを書き出す
まず何よりも大事なことは、我が家にはどんな家事があり、その家事を「誰が」「どれだけの時間(負担)をかけてやっているのか」をはっきりさせることです。
そのために以下の要素をまとめた「家事リスト」を作り、夫婦での家事の負担状況をはっきりさせましょう。
- 【家事の種類】1週間のうち妻と夫それぞれがどんな家事をしているのか
- 【1回の時間】リストアップした家事にどのくらいの時間がかかっているのか
- 【週の頻度】1週間のうちその家事をする回数は何回か
- 【合計時間】1週間のうちその家事をする合計時間はいくらか
たとえば以下のような表を作る事ができます。
担当 | 家事の種類 | 時間 | 週の頻度 | 合計時間 |
妻 | 朝食づくり | 20分 | 7回 | 140分 |
お昼(弁当)づくり | 20分 | 4回 | 80分 | |
晩ご飯づくり | 40分 | 7回 | 280分 | |
食器洗い | 20分 | 5回 | 100分 | |
洗濯 | 10分 | 7回 | 70分 | |
洗濯物干し | 20分 | 4回 | 80分 | |
洗濯物たたみ | 30分 | 5回 | 150分 | |
部屋そうじ | 60分 | 2回 | 120分 | |
買い物 | 90分 | 2回 | 180分 | |
妻の家事時間合計 | 1200分 | |||
旦那 | 食器片付け(朝夕) | 5分 | 14回 | 70分 |
食器洗い | 20分 | 2回 | 40分 | |
洗濯物干し | 20分 | 2回 | 40分 | |
洗濯物たたみ | 30分 | 2回 | 60分 | |
風呂そうじ | 20分 | 1回 | 20分 | |
トイレ掃除 | 10分 | 1回 | 10分 | |
旦那の家事時間合計 | 240分 | |||
家庭の家事時間合計 | 1440分 |
- 合計時間は「1回にかかる家事時間×週の頻度」です
- もっと細かい家事、いわゆる「見えない家事」は一つ分担したところで負担が大きく減るわけではないので省きます
- 負担の大きい家事を夫婦それぞれ多くても10個以内でリスト化して分担しましょう。家事の種類が多すぎると分担が難しくなります。シンプルにしましょう
1週間の家事時間をまとめると、
- 妻の家事時間 :1,200分(1日 約170分)
- 夫の家事時間 : 240分(1日 約35分)
となり、何の家事を誰がどれだけやっているかがはっきりするため、夫がどれくらい家事をしているか(していないか)を自覚させやすくなり、家事の分担もしやすくなります。
現状を知ることは何をする上でも基本になりますので、必ず家事リストを作るようにしましょう。
【STEP2】夫婦のどちらが何の家事を責任持ってやるか分担する
作った家事リストをもとに、夫普段の仕事や生活サイクル、得意・不得意を考慮しつつ家事を分担していきます。
このとき、家事のカテゴリーについてまとめて夫婦で分担しましょう。
たとえば、「あなたにはお風呂まわり全般をお願いしたい」のように、まるっと1カテゴリーの家事をお願いしてしまいます。
そうすることで
- 浴槽・浴室の掃除
- 排水溝の掃除
- シャンプー、リンス、ボディソープの詰め替えと購入
- お風呂の準備・追い焚き
- 鏡の水あか取り
- 脱衣所の髪の毛掃除
- タオルのセッティング
- バスマット取り替え
といったお風呂まわりの細かな家事をまとめてお願いできてしまいます。
実際、小さな家事をバラバラに頼まれるよりも「洗濯・干し・たたみ」「日用品の買い出し」などカテゴリーでまるっと任される方が、やるべき作業がイメージしやすく責任範囲もはっきりするので、夫の家事への責任感も生まれやすくなります。
また、頼まれる家事の数が少ないと夫に錯覚させる効果もあるので、家事分担をスムーズに進めやすくもなります。
【STEP3】分担した家事の「質」と「頻度」をすり合わせる
分担する家事を決めたら、家事をする上での最低基準を「質」と「頻度」の2つの側面から夫婦ですり合わせます。
夫に任せる家事の「質」を決める
まず夫に任せる家事の最低限の質をすり合わせます。
- 妻の考える「この家事はこれくらいやってほしい」
- 夫の考える「この家事はこれくらいやればいいだろう」
というレベル感がずれていると、希望する家事の質を夫が満たせず、結局こちらから指摘するストレスが生まれるためです。
夫に家事を分担するときは、要点だけ押さえさせて、あとは自由にさせるようにしてみましょう。
たとえば、夫に洗濯全般を任せるとき、最低限おしゃれ着だけは丁寧に扱ってほしいのであれば
- 「おしゃれ着」と「ふつう着」を分ける
- 「色物」と「色なし(色移りしない)」を分ける
- おしゃれ着を干すときは肩の出ないハンガーを使う
- おしゃれ着だけは丁寧に畳む(他の服は多少シワになってもよい)
だけを守ってもらうようにします。
これで最低限、おしゃれ着が傷つくことなく洗濯物をしてもらえるようになります。
もし、おしゃれ着だけはどうしても心配だから自分で洗うということであれば
「おしゃれ着だけは洗わない」
という1つの条件でもシンプルでわかりやすくよいでしょう。
少ない条件で必要とする結果を得られるように工夫すると夫婦お互いにストレスが少なくなります。
夫に任せる家事の「頻度」を決める
夫に任せる家事の最低レベルを共有したら、頼んだ家事をする頻度を話し合いましょう。
このとき、「毎日やってほしい」「毎週水曜日にやってほしい」のように希望する家事の頻度やタイミングを伝えますが「なぜその頻度なのか、なぜそのタイミングなのか」という理由もあわせて伝えましょう。
というのも、理由を付け加えて家事をお願いすることで夫が納得しやすくなるためです。
また、夫が「そんなに頻繁にする必要はない」とごねてきたら「どれくらいの頻度だったら家事ができるか、その理由」も聞いて夫婦お互いが納得できる形にすり合わせます。
上手くいかなければ後に紹介する「振り返り」のステップで頻度を調整すればよいので、まずは試しということで夫の提示した頻度で始めてみるのもよいでしょう。
【STEP4】実際に夫に家事をやってもらう
分担した家事・質・頻度にもとづいて実際に夫に家事をやってもらいます。
短い期間だと良し悪しがわかりにくいので、1ヶ月くらい様子を見ます。
このとき妻として「夫のやり方にケチやダメ出しをしない」ようにしましょう。
重要なのはやり方ではなく「必要とする家事の結果が得られているか」ですので、責任を持ってお願いした家事について過程ではなく結果を見ることが大切です。
もし家事での不備が目に余るようならやるべき作業を具体的にわかりやすく教える、あるいはミスが多ければミスが起きないような仕組みを作るといった工夫を、家事が得意な妻が主体になって夫婦で作り上げていきましょう。
夫の家事の上司として丁寧に指導したり家事の環境を整え導いてあげることも、夫への家事分担を成功させるポイントです。
【STEP5】分担後の家事の振り返りをする
夫に家事を分担してある程度の期間が経ったら、必ず今の家事の現状を振り返るようにしましょう。
STEP1でつくった家事リストをもとに、リストアップしていた家事が夫への分担前後で時間的に改善しているかを確認します。
振り返りをするときは
- 自分(妻)の家事の時間が減ったかどうか
- 夫の家事の質は最低限をクリアできているか
を具体的にチェックします。
たとえば、洗濯物について夫に分担しているのであれば、夫の洗濯する時間が増えて自分(妻)の洗濯時間が大きく減っているはずです。
また、自分(妻)のしていた家事の時間よりも夫に分担した家事の時間が短いようなら「夫が家事の手を抜いている」と思わずに、あらかじめ決めていた家事の最低限の質が満たせているかを確認しましょう。
もしやってほしい家事の質が満たせており、家事をする時間も短くなっているのであれば、実は夫の家事のやり方が効率良かったことに気づくことができます。
自分の家事のやり方は効率悪かったのか?と少し悔しく感じるかもしれませんが、最終的な目標は「我が家全体の家事時間を減らすこと」なので、良い結果となったことは素直に受け入れましょう。
こうして定期的に我が家の家事について振り返り試行錯誤をしていくことで、家事の効率化を進めることができます。
以上、5ステップを繰り返し継続して行うことで、夫婦の家事のバランスも改善することができます。
是非夫婦で話し合って取り組んでみましょう。
夫婦がよいバランスできる家事の形を継続して見つけていく
夫が分担された家事に慣れてきたら、自分たち夫婦に合った家事のバランスを探し続けることが大切です。
自分たち夫婦が「納得できる」独自の家事バランスを見つける
夫との家事分担の方法や振り返りについて話をしてきましたが、自分たち家族が納得できてバランスよく家事ができるような形を見つけるよう意識していきましょう。
他の家庭を参考にすることもできますが、他の家と我が家は環境が異なります。
自分たち夫婦独自の家事のバランスを少しずつ調整しながら見つけていくことが大切です。
家事の担当がなくなるようなバランスに持っていけると理想的
夫婦の家事分担の理想のバランスは、夫婦が両方とも同じ家事をできて、夫婦それぞれが空いているタイミングで家事をこなせる家事の担当がなくなる状態です。
夫の手が空いていれば夫が料理を作るし、妻の手が空いていれば妻が料理を作るようなイメージです。
夫婦2人が一つになって家庭を回していくことができれば、家族生活も円滑になります。
「妻でないとできない家事」「夫でないとできない家事」なんてものはありませんので、ぜひ家事の担当を家から無くすように夫婦で協力して生活できる状態を目指しましょう。
家から「家事自体を無くす」ことも実践しよう
ここまで家事分担についてのノウハウを紹介してきましたが、そもそも家事自体をなくすことで夫婦それぞれの自由な時間を増やすという発想も最終的にとても大切です。
というのも、家事自体を無くすことで家族団らんや自分の目標のための活動時間など有意義な時間を生み出せるためです。
家事の時間を減らすというのは、
- やるべき家事の工程・作業を減らす
- やるべき家事を自分たち夫婦以外に任せてしまう
を行有ことで実現できます。
たとえば、以下のように家事や一連の作業を夫婦がやらなくてもいいように置き換えることで、自由な時間を生み出すことができます。
- そうじ :お掃除ロボットの利用
- 洗濯干し:洗濯乾燥機の利用
- 洗濯畳み:服を畳まずハンガーにかけてそのままクローゼットへ
- 食器洗い:食洗機の利用、外食
- お買い物:食品配送サービス、ネットスーパーの利用、消耗品の定期購入、買い物代行、店舗受け取りサービス
- 食事作り:惣菜・ミールキット・レトルト・冷凍食品の活用、外食、デリバリー、料理代行(数日分の作り置き)
- 子供食事:市販のベビーフードやレトルト食品、お惣菜を活用
- 上記すべて:家事代行(料理、掃除、洗濯、整理整頓、クリーニング、買い物など)
今は昔と違って、様々な家事サービスや便利家電を安く利用できるようになりました。
家事代行は1時間1,500円〜依頼できるものもありますので、週1回料理の作り置きを頼むなど低頻度で使うだけでも心身の負担が大幅に減ります。
もちろん、便利家電を取り入れることで、精神的・体力的にキツかった家事が大幅に無くなりますし、夫も家事をしやすくなります。
「全ての家事を自分でやる」時代は終わりました。
ぜひ積極的に家事を少なくする仕組みを家庭に取り入れ、家族と過ごしたり自分の目標達成のために有意義な時間を生み出しましょう。
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夫・旦那が家事をしないときのQ&A
紹介してきた家事分担を夫が嫌がることもあるでしょう。
さいごに、夫が家事をしない時の原因別の解決策のアイデアを紹介します。
Q. 夫が実家暮らしで家事に慣れていなくて困っているがどうすればよい?
A. 簡単なものから少しずつ家事をお願いしていき「家事は当たり前にするもの」という意識づけをしていく。
夫が家事や育児を自分ごとと捉えられていない場合、家事に対して積極的にはなりません。
たとえば結婚するまで実家暮らしで夫の母親が料理の準備や部屋掃除や洗濯をやってくれていた場合、家事自体の経験がない夫は家事をしないことが普通として育ちます。
長い期間を実家暮らしで自分で家事をすることに慣れていないない夫の場合は、簡単なものから少しずつ家事をお願いしていき「家事は当たり前にするもの」という意識づけをしていき、意識改革を行ましょう。
Q. いまだに男尊女卑を引きずっているがどうやって意識を変える?
A. 夫婦向けの家事育児ワークショップに参加する、夫婦一緒にカウンセリングを受けるなど、現代の家庭事情のアップデートをする。改善されないなら、便利家電や家事代行を取り入れるように話す。
夫が「男は仕事、女は家庭」のような男尊女卑に近い古い価値観を持っていると、妻に家庭内の全てを押し付けてくるようになります。
男尊女卑の価値観が強い夫の場合、夫婦向けの家事育児ワークショップに参加して時代の流れを認識させる、夫婦一緒にカウンセラーと話してみるなど、価値観の方向性を少しずつ変える試みをすることも検討してみましょう。
もし夫が家事の分担に応じない場合は、便利な生活家電や家事代行などを利用できるように話し合うことも、こちら(妻)の家事の負担を減らす一つの手です。
Q. 夫のした家事に不備が多いがどうやって質を高めればいい?
A. ほめる+お願いで上手に成長を促す。家事の最低限の合格ラインを夫婦納得いく形ですり合わせておく。
「●●ができていない」「また●●を忘れてる」など、夫が家事をやったとき細かいことで妻からダメ出しされてしまうと、夫が家事に積極的になっていても前向きな気持ちが薄れてしまいます。
夫に家事をする習慣をつけさせるには
「ありがとう、●●をしてくれて助かったよ。ここをこうしてくれるともっと嬉しいから、次からよろしくね。」
のように、「ほめる+お願い」の形にすることで角が立たずにこちらの希望を伝えることができます。
また、夫の家事に満足できないのであれば、改めて夫婦で家事の質について納得いくまですり合わせしておきましょう。
夫・旦那に家事をさせる・分担する方法まとめ
夫に家事を分担する方法について紹介してきましたが、いかがでしたか。
さいごに、夫に家事を分担する方法についておさらいしておきましょう。
- 【STEP1】夫婦それぞれ何の家事にどのくらいの負担(時間と頻度)がかかっているか家事リストをつくる
- 【STEP2】夫婦のどちらが何の家事をメインとして責任持ってやるか分担する
- 【STEP3】分担した家事の「質」と「頻度」をすり合わせる
- 【STEP4】実際に家事をやってもらう
- 【STEP5】分担後の家事の振り返りをする
家事が真にキツイのは、大量の大変な作業をこなしても当たり前として捉えられ、その負荷に対する報酬・見返りがほとんど無い(あるいは見合わない)ためです。
夫が十分以上のお金を支給してくれるならまだしも、「家事をするのは女性の仕事」「専業主婦なら家事をするのは当たり前」と家事をしない夫には不満もたくさんたまるでしょう。
ぜひ今回の夫に家事を分担する具体的な方法を活用して、心と体に余裕を持ち、家庭内での時間にも余裕を持ち、家族と過ごしたり自分の目標を達成するための有意義の時間を作るヒントとしてみてください。
この記事があなたの家事の現状を改善する一助になれば幸いです。